私たちの起源と未来、隕石が教えてくれる
明快、快活。研究を語り出すと、声が弾む。隕石(いんせき)とつきあって23年。「今でも、思ってもみないことが見つかる。おもしろい」
高校、大学は登山に熱中した。「地球を勉強したい」と入った東大大学院で、南極観測隊が持ち帰った大量の隕石を「研究対象に」と勧められ、宇宙に関心が移った。
コンドライトという隕石を調べあげた。45億年前、太陽系が生まれたころにできた貴重な“化石”。宇宙から降ってくる隕石は、太陽系の生い立ちを語ってくれる。主成分のコンドリュールの中に「溶け残り」があることを発見、世界の注目を浴びた。ある固体が瞬間的に加熱され、完全には液状にならないまま冷やされてできたらしい。
いつ、何が起きたのか。「実験室で隕石をつくってみよう」と、独自の実験装置を考案した。星雲中にある水素ガスから、コンドリュールの主成分の鉱物をつくることに成功。条件を変えては、仮説を証明してきた。
スリムな体形にショートカット。大学教授の夫と娘と一緒に米国留学も経験した。女子学生のあこがれだ。女性研究者対象の猿橋賞受賞を「次の世代の励みになればうれしい。責任も感じます」と素直に喜ぶ。
理論は実験で証明、が持論。「停電でもしないかぎり、土日も大学に来る」(大学関係者)。実験装置はもうすぐ、4代目に。
趣味のオペラ鑑賞もごぶさただが、「研究を続けて太陽系進化のシナリオを完成させたい」と夢を描く。<文・元村有希子/写真・加古信志>
(毎日新聞2001年5月18日東京朝刊から)