| 40数年ぶりの涸沢に行ってきました。 |
| 若き日の穂高は記憶に遠く、はじめは一つ一つピークの名前を確認する始末でした。 |
| 前穂3峰のチムニー、やっと攀じ上がったあのチムニーは地震で崩壊したそうです。 |
| 以下、スキーヤーに堕ちぶれた、元アルピニストの涸沢日記。 |
| 19日 |
| 想い出のカール。40数年ぶりの涸沢はまだ雪に埋まっていた。 |
| 先週、3000m付近では2度にわたり1m近くの新雪が降ったとは聞いていたが、 |
| 横尾から見た穂高連峰はまだ冬のようだ。 |
| 横尾から本谷橋までは登山道を歩き、本谷橋からは沢を埋めた雪渓の直登となる。 |
| 涸沢ヒュッテまでは夏道のような折り返しもなく、ひたすら直登で昼過ぎに到着。 |
| なんと云う変わり様だ。 |
| 涸沢ヒュッテは近代的な山小屋となっていた。 |
| 玄関先の石畳をはさんで屋根の上には広いテラスを設えてある。 |
| すばらしい展望をビール片手で楽しめる。 |
| 横尾からの登りですれ違ったヒュッテのスタッフ2人は、休暇で山を降りる途中の若い |
| 女性達だったが、小屋で働いているスタッフも若手の女性や男性が多い。 |
| 昼食後、シールを着けて5・6のコルまで登ることになった。 |
| 雪渓の上に積もった重い新雪は簡単に雪崩れる。 |
| カールのいたる所から雪崩が落ちている。 |
| ルートを選びながら2時間あまり、最後の急登を斜めに切りながらコルに到着。 |
| 上高地側を見下ろしているとガスが巻き上がって雪が混じり、吹雪の様相となる。 |
| 視界のあるうちに滑降を始める。 |
| 深い湿雪の急斜面は、滑り始めるやいなや雪崩を誘発する。 |
| 先頭だろうと最後尾だろうと、誰が滑っても、どこからでも雪崩れる非常に危険。 |
| 声をかけあい、雪崩を避けあいながらのジャンプターンは体力との勝負。 |
| ふと気付くと雪崩に乗って滑っている。 |
| ヒュッテまで一気に滑り降りる。 |
| 狂気乱舞、まさに冒険的必殺大滑降。 |
| 20日 |
| 台風の影響で夕べから大雨となる。 |
| 午前中は小屋でコーヒーを飲みながらの停滞。 |
| 食事も良く、布団も暖かく、おまけに掛け流しの温泉が地下深く?・・いいや天空遥かで |
| 楽しめるとは。 |
| 午後になって晴れ間がのぞき、あっという間に快晴となる。 |
| 今日は涸沢槍のコルを目指す。 |
| 直登でシールの限界を超え、斜行を繰り返し、獅子岩のあたりまで登る。 |
| もう何処もかしこも雪崩のデブリだらけで、フラットな斜面はない。 |
| シールも効かなくなってくる。 |
| 涸沢小屋の上に落ち込む急斜面を上から見下ろすあたりでタイムアップ。 |
| 雪面がクラストし始め、急激に気温が下がったのだ。 |
| 滑走開始。難しい雪質に気合いのターンを繰り返す。 |
| ちょっとしたバランスミスが転倒を招く。 |
| クラストを割りながら破れかぶれのハイスピードターン、ヒュッテ正面に滑り込む。 |
| 夜は満天の星空となった。 |
| 誰かのヨーデルが聞こえてきそうな涸沢。 |
| ヒュッテ御主人の計らいで、豪華な夕食会が続いた。 |
| 今夜の泊まりは他に一人だけ。 |
| 明日、奧穂まで行くという単独行の青年だ。 |
| 21日 |
| 朝4時半に起きて穂高連峰のモルゲンローテを見る。 |
| 陽が登り始めると屏風の耳の影が涸沢の雪に映る。 |
| 360度、あっけにとられてパノラマざんまいする。 |
| そして今日はもう一度、涸沢槍付近までの登行となる。 |
| 雪面は良くしまり、滑走には最適なコンディションとなった。 |
| 雪崩も止まり、撮影を繰り返しながらの滑走。 |
| あまりの雪の多さに、稜線直下からの滑降は危険で出来なかった |
| が、ほぼ目的を果たして下山。 |
| ヒュッテから本谷橋まではザックを背負って、ほんの10分程度で滑り降りた。 |
| 横尾谷は山桜が満開だった。 |














